2017年5月26日金曜日

日本の伝統色

色の文化は気候風土によって育まれるもので、日本には日本の伝統色があります。日本の草木から染め出された色合いは、日本の風土に溶け込み、心も落ち着かせてくれます。和室が落ち着くのは、畳、木、和紙など和室を構成する色のほとんどが、筋肉の緊張をゆるめてリラックス効果をもたらす色だからです。
また、伝統色は地味な色ばかりではなく、鮮やかな色もたくさんあります。それらが見事に調和するのは、天然染料の色だから。自然界の色が調和しているように、その色だけが飛び出してくることがないのです。日本の伝統色を知れば知るほど、日本人の繊細な感性や、自然の恵みを感じずにいられません。


■色の名前が表す世界
和服や和小物などの色に心が惹かれた時、色の名前がわかるとちょっと粋ですね。日本の伝統色には素敵な名前が付けられています。微妙な色味のそれぞれに名前がついているので全部覚えるのは難しいですが、名前を聞くとどんな色なのかが目に浮かぶような風情のある名前です。自分の好みの色の名前と由来だけでも覚えると、ますますその色が好きになりそうです。

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「曙色」(あけぼのいろ):夜明けの空のような色。自然の情景を思わせる色です。
「鴇色」(ときいろ)「撫子」(なでしこ)「千歳緑」(ちとせみどり):身近な動物や植物の色合いをうつしたもの。
「青竹」「若竹」「老竹」「煤竹」(すすたけ):竹の色だけでもさまざまあります。
「紅」「臙脂」(えんじ)「藍」(あい):染料の名前からとったもの。
「藍白」(あいじろ):藍の中でも藍染めの初期の色。
「甕覗」(かめのぞき):藍の染料の入った瓶を覗いた程度の薄い色。染めの様子が浮かんできそうな名前です。
「新橋色」(しんばしいろ):新橋の芸者さんが好んで着ていた流行色。
「京紫」:古来からの赤みを帯びた紫色。
「江戸紫」:「京紫」に対抗し、江戸っ子が武蔵野で採れる紫草でつくった青みを帯びた紫色。

また、江戸時代には「四十八茶、百鼠」という言葉が生まれるほど、茶や鼠色が豊富に流行しました。歌舞伎役者の名前をつけた「団十郎茶」「璃寛茶」(りかんちゃ)「路考茶」(ろこうちゃ)「芝翫茶」(しかんちゃ)など70以上もの茶があり、「梅鼠」(うめねず)「藤鼠」(ふじねず)「銀鼠」(ぎんねず)など、各色相の鼠色があるのです。
色の違いは無限にありますが、微妙な美しさの違いを的確に捉えて楽しもうとする日本人の感覚は素晴らしいものです。


■襲色目(かさねいろめ)
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日本の色には十二単(じゅうにひとえ)のように色を襲る(かさねる)色彩美があります。「襲色目」という手法で、衣の表裏や織り糸によって色を襲ね、桜の襲、菖蒲の襲、紅葉の襲などの名前をつけて、四季折々の風情を表現しました。


■色の知恵
植物染料には防虫や薬効があり、暮らしの知恵として活かされてきました。
【藍】紫外線を吸収し、毒虫やマムシよけにもなるため、野良着に最適。
【茜(あかね)・紅花(べにばな)】婦人病や神経痛に効くため、腰巻きに。
【鬱金(うこん)】防虫、殺菌効果があるため、衣類は鬱金の布で収納され、重要文書は鬱金で染めた紙を使いました。


■禁色(きんじき)
平安時代には身分によって着られる色が決められており、着てはいけない「禁色」や、この程度の色までなら構わないという「聴色」(ゆるしいろ)が定められていました。
例えば、女性なら美しい紅に憧れますが、庶民に許されたのは、染料である紅花一斤(べにばないっきん=約600g)で絹一疋(きぬいっぴき=和服地二反)を染めたときの「一斤染」(いっこんぞめ)という色。桜色よりもっと薄い色ですが、これ以上濃い色を着ることは許されなかったのです。

戦時中も鮮やかな色を着られなかったように、平和で豊かな時代でなければ、自由に色を楽しむことはできません。現代はだれでも自由に好きな色を身につけられます。日本の伝統色をもっと身近に、大切にしていきたいものです。

2017年5月23日火曜日

庭園

日本庭園にはさまざまな楽しみが隠れています。盛り土や石庭を山や海に見立てたり、滝や池などの広大な自然をミニチュア化して取り込んだり。そして、なぜか心が落ち着く美で満たされているのです。
「年月がかかって重みを増して、美しさが光る。時が美しさを発揮していく」と旅行作家の兼高かおるさん。
桂離宮、古書院の月見台。
西洋の庭園がシンメトリーに植物を配置して、敷地の中で完成された人工的な美しさを求めるのに対して、日本庭園は木や石や水をできるだけ自然界にある姿で配し、ときには囲った敷地外の自然までを「借景(しゃっけい)」として取り入れます。木々は育ち、土地は苔むして、そんな経年変化を愛しむのも日本庭園ならではの味わいといえるでしょう。
桂離宮、松琴亭遠望。
日本庭園の歴史は古く、奈良の平城京跡にもS字形の池泉が発掘・復元されています。日本最古の造園本『作庭記(さくていき)』によると、平安後期には、地割や石組、植栽などの基本的な造園方法が確立。特筆すべきはその自然観で、「人間は自然に導かれながら作庭すべし」という視点でした。桂離宮、御腰掛前の二重枡形手水鉢。
鎌倉から室町時代にかけては、五山を中心にした禅寺書院の庭が発達。自然の山水を凝縮させた庭「枯山水(かれさんすい)」が多くつくられます。千利休がつくった茶庭も、日本庭園史を語る上で忘れてはいけないもの。茶の湯では、客人は細い通路である「露地」を通って茶室へと向かいますが、露地の特徴は、作為を感じさせない意識的な深山の趣。庭園表現に新境地を開きました。
桂離宮、書院に向かう飛石。
江戸時代には将軍や大名によって多くの回遊式庭園が全国につくられます。当時は個人の所有物だった庭園も、今はその多くが一般に公開されるようになりました。庭園に身を置けば、その時代の背景や作庭者の思いと通じることができます。それはなんと豊かで贅沢な時間なのでしょう。
桂離宮、新御殿の一の間。

2017年5月19日金曜日

瓢亭 八寸

瓢亭玉子の歴史は古く、江戸初期の創業期、茶店だった時代から出していたもののようです。
「茶店のころは、お茶やお菓子を出していましたが、そのうちに庭先の鶏の玉子をゆでて出すようになったと伝え聞いています」と当主の髙橋さん。幕末の出版物『花洛名勝図会(からくめいしょうずえ)』には、「瓢亭の煮抜玉子は近世の奇製なりとて酒客あまねくこれを食悦(しょくえつ)す」とあり、当時たいへんな人気だったことがうかがえます。

さらに「鶏卵(たまご)は春の桜鯛、秋の紅葉鮒にも越え、河海の時化を知らず。形圓くして骨なく腎精(じんせい)を健にす。頗(すこぶ)る生物の最上というべし」とあって、鯛や鮒以上の味で、時化も関係なく調達でき、健康にもよいと、大絶賛されています。玉子が貴重だったころの、美味への憧れが感じられます。ちなみに『花洛名勝図会』は、京都の名所の絵と解説文が載った、今で言うガイドブックでした。
つくり方について、髙橋さんは「なんでもない玉子です。秘伝もありません。白身はかっちり固まって、黄身はとろっとするようにゆでるだけです」と言います。“なんでもないものを当たり前に美味しく饗する”ことこそが一番難しく、そこに本当の老舗の矜持と実力を感じます。

瓢亭の八寸は、季節の移り変わりにつれて、半月に1度ほど変わりますが、いつでも、玉子を「台」にして考えられています。台とは、その皿の土台という意味で、ほかの料理を取り合わせる中心であり、基準になるものです。玉子はどんな相手にも合う、究極の「台」になってくれるのです。
この玉子が、今日の瓢亭の料理スタイルを決めているように思えます。年中変わらないゆで玉子という中心をもったことで、それを取り巻く料理は「飾らず、季節を忠実に料理していく」という姿が守られているのです。

瓢亭の料理は、材料から盛りつけまで、すべてが京都の四季を表現したもの。八寸は、その世界をひとつにした、美しい細密画です。

八つ橋に、菖蒲の葉を敷いて初夏の八寸

八つ橋といえば、在原業平(ありわらのなりひら)の「唐衣…」の歌。杜若(かきつばた)が咲く初夏を思わせる器だ。瓢亭玉子の左上から右回りに、蓴菜針この子、目板鰈一汐干(めいたがれいひとしおぼし)唐揚げ、油目新子(あぶらめしんこ)南蛮漬、茗荷(みょうが)寿司、押し瓜。ギヤマンのつぼの中は、蓴菜に、細切りのこの子(なまこの卵巣、くちこ)を合わせたもの。目板鰈の自家製干物の唐揚げや、油目の新子の南蛮漬などの揚げ物がアクセントに。茗荷寿司など、寿司は必ず入れる。昆布にはさんで押した押し瓜も丁寧につくられた逸品。

夏から秋へのうつろいを楽しむ

うちわ形の溜塗(ためぬり)盆には7、8月の八寸を盛りつけた。瓢亭玉子の右下は鮎寿司、茗荷、右端から左へ、鴨香味焼き、小芋きぬかつぎ、枝豆、蛸の子の田楽。鮎寿司は、どんどん大きくなり、風味が変わっていく鮎を楽しむ、通好みの味。瓢亭の料理には川魚を使ったものが多い。古来京都では、海の魚よりも川の魚がよく使われていたことを思わせる。小芋や枝豆は、夏が長けたことを知らせる。蛸の子は食感が楽しく、田楽にしたのも面白い。

店の印、瓢簞の絵柄で長月を迎える

瓢簞を金銀で蒔絵した盆に、9月の八寸を盛る。瓢亭玉子が名月のように見えてくる。その下はかます寿司柚子はさみ、その下右から鰻八幡(やわた)巻き、栗芋、生雲丹と枝豆新生姜の煮こごり、鱧田楽。煮こごりには季節のものを、彩りを考えて取り合わせる。栗芋は、さつまいもを栗の形にむいて、みつ煮にしたもの。田楽も瓢亭の八寸によく登場する。鱧を白焼きにしてから白味噌を炊いてつくった柚子味噌を塗り、味噌が焦げないようにもう一度焼いている。

2017年5月16日火曜日

白砂青松 足立美術館

「庭園もまた一幅の絵画である」。
創設者・足立全康が抱いていた確固たる信念によって、足立美術館は近代日本画と日本庭園を二枚看板とした希有な美術館となりました。「本当の素晴らしい庭は人々の心を癒してくれる。とりわけ日本庭園は、憩いの場、心のオアシスとして日本人の感性に極めて近しいものがある」という足立の想いを具現化した庭は全部で6つ。
来館者を迎える「歓迎の庭」にはじまり、雅な風情を湛えた「苔庭」、古来の伝統の手法を基調とした「枯山水庭」、横山大観の作品からインスピレーションを得た「白砂青松庭」など、趣の異なる庭が訪れる人々を魅了するのです。

6つの庭園の広さは延べ5万坪にのぼり、ひとつの敷地内にこれほど多彩で変化に富んだ日本庭園を有した美術館は世界にも類を見ないと言えるでしょう。
それが証拠に、アメリカの庭園専門誌『ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング』が2003年にはじめて発表した日本の庭園ランキングにおいて、桂離宮など屈指の日本庭園をおさえて、足立美術館の庭が日本一に選定されたのです。
以後、2017年の本年に至るまで、14年連続で「庭園日本一」の栄誉に輝いている足立美術館の庭。その美しさは世界中の人々をも魅了しているのです。

6庭を徹底解剖

1,入館前から美しい庭を味わえる『歓迎の庭』

神々のふる里として知られる出雲の国・安来の四季折々の自然のイメージを踏襲したというこの庭が、まずは来館者を迎える。足立美術館が建っているのは、創設者・足立全康の生家だった土地。

2,本館に入ると先ず目に入るのが雅な苔庭『苔庭』

美術館の中に足を踏み入れると、真っ先に眼前に広がるのがこの「苔庭」。主庭となる「枯山水庭」へと続く側庭であり、苔を主体とした簡素で雅な京風の庭である。一面の苔が穏やかな風情を演出。

3,茶庭の形式を踏襲した露地が美しい『寿立庵の庭』

遠景を望む雄大な庭が魅力的な足立美術館の中にあって、静寂な青松の木立に佇む「寿立庵の庭」は、小堀遠州好みを体現した心休まる茶庭。綺麗さびの世界を感じさせる趣きある風情が魅力だ。

4,世界にその名を轟かせる圧巻の庭『枯山水庭』

延べ5万坪という広大な面積を誇る足立美術館の主庭となっているのがこの「枯山水庭」。水を用いずに山水の世界を表現した、古来の伝統手法と安来の雄大な自然が織りなす景観は見事の一語。

5,緑と白のコントラストが眼に鮮やか『白砂青松庭』

主庭に連なり、借景の中に落ちる「亀鶴の滝」を望む青と白の世界が美しい「白砂青松庭」。こちらは横山大観作の『白沙青松』のもつ清澄なイメージを表現するべく作庭されたという。

6,豊かな湧き水が安らぎを感じさせる『池庭』

自然に見られる州浜や荒磯の風景を体現したこの「池庭」の水は、当地の湧水を利用しており、安来の豊かな自然を感じさせてくれる。この池の手前側には足立全康の生家が現在も残されている。

足立美術館

住所/島根県安来市古川町320 地図
開館時間/9時〜17時半(10月〜3月は17時まで)
休館日/年中無休(新館のみ休館日あり)
入館料/一般2,300円
TEL/0854-28-7111
ホームページ/https://www.adachi-museum.or.jp/

2017年5月12日金曜日

熊野

京都・奈良の古都から、南に下った陸の端に位置する熊野。山岳修験(しゅげん)の行場でもあるこの地は、朝霧が立ち込める山々から、熊野川を経て黒潮の荒波がつくりだした奇妙な岸壁まで、自然環境も気候も大きく異なります。温暖な気候と大量の雨が育む大森林や、潮流がめぐる海原からさまざまな恵みをいただく一方、熊野本宮大社(ほんぐうたいしゃ)の社殿を流出させた明治の大洪水や、広域にわたり甚大な被害をもたらした2011年9月の台風12号なども。多雨地域で台風の通り道でもあるがゆえ、熊野の人々は自然の恩恵と驚異と、共に暮らしてきました。
熊野本宮大社 住所/和歌山県田辺市本宮町本宮1110
 
平安時代、熊野に現世の極楽浄土を見出した上皇からはじまった熊野詣で。古道(こどう)ウォークはまたたく間に貴族に流行し、やがて武士や庶民までもが熊野を目ざします。杉木立のなかをゆく山の古道は修験道であり、祈りや癒しの道だったのです。山中の道が多少整えられた現在でも、やはり苦や労を経てこそ、聖地へとつながる道。こうしてさまざまな人を受け入れ、神道、仏教、修験道と多様な信仰を受け入れてきた熊野は、平成16年に「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として世界遺産に登録されました。 
さて、神社の鳥居をくぐったら、どうぞゆっくり参道を歩いてみてください。同行者がいても、ひとときおしゃべりをやめて。風にそよぐ葉ずれの音に耳を澄まし、木漏れ日の温かさを肌に感じながら進めば、社殿で鈴を鳴らすころにはきっと心が落ち着いているはずです。熊野三山詣でも古道ウォークも、平安時代のそれとは趣が異なるにしても、乱れた心を鎮め、癒し、いくばくかの力を与えてくれるものに変わりないでしょう。こうして心の平安を取り戻すことが、神々が降りる地を詣でる最大のご利益なのかもしれません。

那智の瀧(飛瀧神社)

幅13mの銚子口から、133mという日本一の落差を下降する名瀑(めいばく)那智の滝。神武天皇が熊野東征(とうせい)の折に見つけ、ご神体として祀ったことにはじまる。今でも社殿や拝殿は置かず、滝を正面に望むのみ。行をつむ修行僧でなくても、その清浄な空気と霧状の飛沫を全身に受ければご利益が。

住所/和歌山県東牟婁群那智勝浦町那智山 地図
参拝自由(御滝拝所は6時30分~16時30分、参入料300円)

熊野那智大社(くまのなちたいしゃ)

那智川沿いの県道から上っていくと、那智原始林として天然記念物に指定されている山を望む、丹塗(にぬ)りの美しい社殿が。主祭神である熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)の「夫須美」が「むすび」に通じるところから、古くは「結宮」(むすびのみや)の通称で呼ばれた、熊野権現の本社。今もさまざまな縁を結ぶ諸願成就の社としてにぎわう。
住所/和歌山県東牟婁群那智勝浦町那智山1 地図
TEL/0735-55-0321

熊野速玉大社

清浄な新宮(にいみや)に神々を祀り、自然の恵みを献(けん)じて感謝と畏敬の心で祈りをささげ清め祓(はら)う、神社神道の倣いを実践する速玉大社。熊野信仰の象徴でもある梛(なぎ)の大樹を見ながら参道を行き神門をくぐれば、壮麗な丹塗りの熊野造り社殿と、神社建築に最も多い流造社殿が並ぶ様に圧倒される。
住所/和歌山県新宮市新宮1 地図
TEL/0735-22-2533
参拝自由

熊野古道

熊野三山の信仰が高まった古代から中世。上皇から庶民まで多くの人が熊野を目ざして列をなし、その様子は「蟻の熊野詣で」とたとえられたほど。田辺から山道で本宮へ向かう中辺路(なかへち)、海岸沿いに那智・速玉へ向かう大辺路(おおへち)、高野山から本宮への小辺路(こへち)の3経路は「熊野参詣道」として世界遺産に登録。
-2013年和樂1・2月号より-

後半はこちらから!



旅の前半で熊野”神”巡りをした後は、美味しい料理を巡ってはいかがでしょう。

旅館あづまや

風情と湯を楽しむ古宿

熊野本宮大社を控える奥熊野に、浴衣丹前に下駄でそぞろ歩きたい、昭和の香りを濃厚に残した湯の峰温泉が。とろりと肌にやわらかな湯の高温自家源泉をもつ『旅館あづまや』は、江戸後期の創業。その風情、泉質、美熊野牛(みくまのぎゅう)のしゃぶしゃぶなど温泉を利用した料理で、多くの文人墨客に愛されてきた宿です。
住所/和歌山県田辺市本町湯の峰122 地図 
TEL/0735-42-0012
料金/16,150円~(1室2名利用時2食付き1名料金) 
交通/JR新宮駅からバスで「湯の峰温泉」まで約70分、停留所前

十割そば 森本屋

那智勝浦といえば生まぐろ

西日本一の生まぐろの水揚げを誇る勝浦港から歩いて1分。魚料理を得意とする民宿から転身して10年のそば処。かつお節やさば節、めじかなどでとるやや辛口のつゆでいただくのは、細めでのど越しのいい十割そば。まぐろの仲卸業社で働いていた息子の森本竜輔さんがはじめたそば屋ならではの、料亭に卸すような上質の中落ちを使ったまぐろ丼も人気です。
住所/和歌山県那智勝浦町勝浦451 地図
TEL/0735-52-4578
営業時間/11時~14時,17時~20時(L. O 19時30分)
休業日/第2・4火曜
ざるそばとミニまぐろ丼、味噌汁のセットで1,300円。まぐろ丼のみは900円。1月からがマグロの旬。

まさや

名産さんま寿司ならここ!

熊野地方の郷土食に高菜でご飯を包んだ〝めはり寿司〟がありますが、もうひとつぜひ試したいのが〝さんま寿司〟。旬を過ぎて南下したさんまでつくるもので、程よく脂が抜けてさっぱりした味わい。那智勝浦でその味を知った旅行者が全国から注文するという『まさや』のそれは、10時間近く手をかけた優しいおいしさです。
住所/和歌山県東牟婁群那智勝浦町築地7-3-9 地図
TEL/0735-52-0855
休業日/火曜日
さんま寿司は1本370円。みかんやゆずなど柑橘のやわらかな酸味が隠し味に。こぶ巻きもおすすめ。

2017年5月10日水曜日

芦雁(ろがん)図 若冲

美術史の専門家でありながら、親しみやすい語り口と斬新な切り口で日本美術の魅力を説き続ける山下裕二さん。そんな山下さんは、若冲人気の高まりについて次のように語ります。
「もともと若冲は凄かったんです。でも、明治以降の日本人はその凄さに気づかないまま100年近い時を過ごしてしまった。それが2000年の『没後200年 若冲』展を契機にして彼の作品画像が流通しだすと、専門家の小難しい説明なしに、みんなが圧倒的にこの絵は凄いとわかるようになったのです」
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2000年を、若冲再来元年と位置づける山下さんは、2003年の六本木ヒルズの「ハピネス」展でアイコンとなったプライスさん所蔵のあの「象」が衝撃を与え、さらには2006年に東京を皮切りに全国各地を巡回し、延べ約82万人以上という観客を動員した「プライスコレクション 若冲と江戸絵画」展で「若冲人気は沸点に達した」と語ります。
「その意味で2013年の今年、東北復興を祈願して若冲を中心とした『プライスコレクション』展が再度開かれることは、至極真っ当な流れであり、大変に喜ばしいことですね」※2013年和樂4月号より
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そんな山下先生が好きだと語る若冲作品は『動植綵絵(どうしょくさいえ)』の中の一幅。「この『芦雁(ろがん)図』は30幅の中でも最も地味な絵です。色彩も派手ではないしモチーフの数も少ない。でも、この絵は“墜ちていく自分”という人間の深層にあるひとつの心理を描き出した凄い作品だと思っています」
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山下さんは幼少期、多くの人が宇宙船のような船に乗り込もうとしているのに自分だけが乗れず、ひとり宇宙空間に墜ちていくという夢をよく見たと言います。「人間にはそのような墜落への恐怖という深層心理があるでしょう。この絵はまさにその恐怖感を見た瞬間を思い起こさせます」と語り、若冲作品は今後、心理学的な知見からも分析がなされるべきだと語ります。
「さらにこの絵で注目してほしいのは、枝にまとわりついた湿り気のある雪の描写です!溶ける寸前の重量感のある雪を、これほど素晴らしく表現した絵はほかにありません。こんなふうに雪の重みを表現しているのは若冲だけなんです」と若冲の凄さを教えてくれました。
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2017年5月1日月曜日

美人の湯

「日本三大美人の湯」と「日本三大美肌の湯」は違うの?

現在、「日本三大美人の湯」と「日本三大美肌の湯」と呼ばれる2種類の「三大」があるのはご存知ですか?一体その違いはなんなのでしょうか?
出典: 
現在、「日本三大美人の湯」と「日本三大美肌の湯」と呼ばれる2種類の「三大」があるのはご存知ですか?一体その違いはなんなのでしょうか?

日本三大美肌の湯とは?

日本三大美肌の湯とは佐賀県の嬉野温泉、島根県の斐乃上温泉、栃木県の喜連川温泉の3つの温泉のことをいいます。
肌に良い温泉ということで、中央温泉研究所と藤田聡氏によって選ばれたものです。
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日本三大美肌の湯とは佐賀県の嬉野温泉、島根県の斐乃上温泉、栃木県の喜連川温泉の3つの温泉のことをいいます。
肌に良い温泉ということで、中央温泉研究所と藤田聡氏によって選ばれたものです。

日本三大美人の湯とは?

和歌山県の龍神温泉、島根県の湯の川温泉、群馬県の川中温泉の3つの温泉のことを言います。
なぜこの3つが選ばれたのかは定かではありませんが、1920年、鉄道行政を管轄する鉄道院によって編纂された「温泉案内」で「肌を白くする」という効能一覧に、この3つの温泉が挙げられていたことが発端ではないかと言われています。
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和歌山県の龍神温泉、島根県の湯の川温泉、群馬県の川中温泉の3つの温泉のことを言います。
なぜこの3つが選ばれたのかは定かではありませんが、1920年、鉄道行政を管轄する鉄道院によって編纂された「温泉案内」で「肌を白くする」という効能一覧に、この3つの温泉が挙げられていたことが発端ではないかと言われています。

ここでは「日本三大美人の湯」をご紹介します♪

龍神温泉/和歌山県

泉質は重曹泉(ナトリウム炭酸水素塩泉)で無色透明。pHは7.8。ラジウムの放出量が豊富でその量は日本一ともいわれています。また、飲用もできる温泉で多くの病に効果的とも言われています。
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泉質は重曹泉(ナトリウム炭酸水素塩泉)で無色透明。pHは7.8。ラジウムの放出量が豊富でその量は日本一ともいわれています。また、飲用もできる温泉で多くの病に効果的とも言われています。
日高川に沿って旅館が並んでいるので、各旅館の露天風呂から渓流を眺める事ができる情緒あふれる温泉街です。
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日高川に沿って旅館が並んでいるので、各旅館の露天風呂から渓流を眺める事ができる情緒あふれる温泉街です。

龍神温泉 おすすめの宿/上御殿

創業1657年。国の登録有形文化財に指定されている老舗温泉旅館。
地産地消にこだわっており、有機栽培の自社農園産野菜や天然の山の幸メインの懐石料理が楽しめます。
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創業1657年。国の登録有形文化財に指定されている老舗温泉旅館。
地産地消にこだわっており、有機栽培の自社農園産野菜や天然の山の幸メインの懐石料理が楽しめます。
内湯は檜風呂。内湯からでも景色を楽しめます。露天風呂もあります。
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内湯は檜風呂。内湯からでも景色を楽しめます。露天風呂もあります。
季節ごとの土地のものを食すことができます。
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季節ごとの土地のものを食すことができます。
夕食は鹿肉のしゃぶしゃぶや焼きアマゴ、山菜料理を頼みました。鹿肉は初めてでしたが全く臭みもなく柔らかくヘルシーな感じで食べ易かったです。本館は木造二階建て入母屋づくりで龍神温泉街のなかで最も歴史と風格があります。内湯は桧と杉で作られており、日本三大美人の湯の一つで少しヌルヌルして肌にはよさそうな温泉です。貸切の露天風呂には朝入りましたが、日高川のせせらぎと新緑の眺めが素晴らしかったです。

川中温泉/群馬県

泉質はカルシウム硫酸塩泉で温泉は川の中から湧出していてこれが温泉名の由来となっています。pHは8.4。
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泉質はカルシウム硫酸塩泉で温泉は川の中から湧出していてこれが温泉名の由来となっています。pHは8.4。
入るとつるつるした感覚が味わえる名湯です。
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入るとつるつるした感覚が味わえる名湯です。

川中温泉 おすすめの宿/かど半旅館

川中温泉にある秘湯の一軒宿。
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川中温泉にある秘湯の一軒宿。
手打ちうどんを使った「おっきりこみ」が名物の家庭的な雰囲気な宿です。
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手打ちうどんを使った「おっきりこみ」が名物の家庭的な雰囲気な宿です。

湯の川温泉/島根県

泉質はナトリウム・カルシウム - 硫酸塩・塩化物泉。pHは8.4。
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泉質はナトリウム・カルシウム - 硫酸塩・塩化物泉。pHは8.4。
6軒の宿泊施設以外にも「出雲いりすの丘 ひかわ美人の湯」という日帰り温浴施設があるので、温泉めぐりも楽しめます。
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6軒の宿泊施設以外にも「出雲いりすの丘 ひかわ美人の湯」という日帰り温浴施設があるので、温泉めぐりも楽しめます。

湯の川温泉 おすすめの宿/湯宿 草庵

古民家離れ客室が2015年8月にオープンしたばかり。春夏秋冬、いつ訪れても美しい景色が楽しめます。
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古民家離れ客室が2015年8月にオープンしたばかり。春夏秋冬、いつ訪れても美しい景色が楽しめます。
6つのお風呂が貸切で楽しめます。
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6つのお風呂が貸切で楽しめます。
季節に合わせたお料理を個室食事処でいただけるのも、女子には嬉しいですね。
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季節に合わせたお料理を個室食事処でいただけるのも、女子には嬉しいですね。

美人の湯と美味しい食事で女子力アップの旅を♪

「日本三大美人の湯」をご紹介しました。これからは温泉が恋しくなる季節。
大切な恋人や家族、お友達と一緒に出掛けてみてはいかがでしょうか?