2017年1月19日木曜日

春日大社の黄金の太刀

【どんな番組ですか?】
刀剣女子も惚れ込む、日本の刀剣のルーツとも言われる平安時代末期、藤原頼長が奉納した一振りの至高の国宝「黄金の太刀」が、春日大社1200年目の記念すべき式年造替に完全復元されました。息を呑む刀身の輝き、鞘の猫のデザインの螺鈿細工と眩い金無垢の色、それを寸分違わず復元した人間国宝を含む5人の名匠達のドキュメンタリー。復元された太刀は、今は神様の元に置かれている為、二度と見ることは出来ません、貴重な映像記録が放送されます。

【番組の見どころは?】
今回、NHKの独占取材で、初めて目にする復元された毛抜形太刀の刀身、螺鈿細工、貴重な映像記録を堪能できる。
科学調査で分かった、今回復元される「金地螺鈿毛抜形太刀(きんじらでん けぬきがたたち)」が、ほぼ純金で出来ていた。金メッキでは無かった。金無垢と螺鈿細工の見事な融合鞘にピッタリ合う、刀身を作る月山流5代目の月山貞利さんの迫力。人間国宝、北村昭斎さんのミリ単位の螺鈿彫刻、そして完成した「復元 金地螺鈿毛抜形太刀」。眩いばかりの至高の太刀に思わず息を呑む。

【この番組を企画したきっかけは?】
2008年春日大社を記録した番組「神々が降り立った森で」を制作し、現場の音と雅楽で神様の気配を感じて頂いた。
今回は、日本人の精神性の象徴でもある「刀」の復元、現代に今一度、日本人の技術力と発想力、そして何より神様への感謝の気持ちを現場の空気感が記録された映像で感じとってもらえたらと企画しました。

【心に残った言葉は?】
人間国宝の北村昭斎さんが「今から800年前によくこの様な細かい技術で至高の太刀を作ったなと、復元しながら感心してますよ」「私には・・難しいな・・・」
皆さんため息をつきながら、復元作業に取り組んでおられました。

【この番組を取材するなかで新しい発見や、驚いたことはありましたか?】
太刀を作りあげるのにこれほどまでに、分担され、細かな作業があることに驚きました。
研ぎで刀は決まるとも言われていて、今回はとても細かくて小さななるたき砥石で丹念に仕上げる人間国宝の姿、顕微鏡でミリ単位の彫金を施す白金師、螺鈿彫刻、どれも失敗の許されない厳しい世界。大変貴重な匠の技術が途絶えることなく継承されていることに感嘆しました。

【見てくださる方に一言】
金無垢の眩さ、直刃の美しさ、太刀が作られ春日大社に奉献された、歴史的な背景。
そして匠たちの「神業」、色々なものが集約された毛抜形太刀を堪能して下さい。
今回は平安時代に無もなき職人が作り上げた「金地螺鈿毛抜形太刀の技」VS「現代の名匠の技」構図がたまりません。共通しているのは「神様への思い、どんなに細かな所も手を抜かないストイックな精神性」日本人の精神世界も感じられる。番組になっております。

(番組ディレクター 鈴木 和弥)

番組内容

春日大社 よみがえる黄金の太刀~平安の名宝に秘められた技~
世界遺産の一つ奈良・春日大社では昨年、20年に一度の大規模修繕である、式年造替が行われた。中でも注目されたのが、ご神宝である国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」の復元だ。経年劣化によって錆ついたこの太刀を復元するため、最新科学で分析した結果、多くの部分にほぼ純金が使われた、類を見ない豪華な刀であることがわかった。復元に携わるのは人間国宝級の職人たち。平安の名宝に秘められた神聖で高度な技と格闘した3年の記録。

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