2017年3月10日金曜日

金地院南禅寺塔頭

京都が日本美術の宝庫であるのは外国人も承知のことだが、何より驚かれるのは、それらが美術館のガラスケースの中にあるだけではないということ。保護保存のため収蔵庫などに眠るものも少なくないが、それが制作された当時の空間で鑑賞できるのだから。
そんな貴重な体験ができるのが、南禅寺の塔頭「金地院」。何しろ狩野探幽(かのうたんゆう)が雪松図を、弟の尚信(なおのぶ)が鶴を描いた襖が、小堀遠州(こぼりえんしゅう)作の枯山水庭園に面したふたつの部屋で見ることができるのだ。さらには、長谷川等伯の筆によるキュートなお猿さんまで! 日本美術に詳しくない私も興奮のビッグネーム揃い、これを見ずに南禅寺美術は語れまい。
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「南禅寺」の荘厳さに圧され気味の塔頭だが(実際、南禅寺の方丈は襖絵も庭もやっぱり見事!)、探幽の老松も、尚信の鶴も、それぞれの間に入って至近距離から鑑賞できる。背景の金箔の鈍い輝きも、胡粉の盛り具合も、幹や枝の皮のリアルな表現も、ぼんや~りではなくピントが合った状態で見ることができるのだ。これってすごくない?
ところで…写真映えする寺と、そのよさがフレームに納まりきれない寺がある。「金地院」はその後者。ビジュアル重視の和樂では写真の出来が誌面構成を左右するので、南禅寺周辺の取材企画ではフォトジェニックな南禅寺がメインになりがち。2016年和樂4・5月号「京都パーフェクトガイド100」で「金地院」が採用され、今までの無念が少し晴れた。
スクリーンショット 2017-03-09 10.21.44「金地院」の方丈奥、開山堂から見た方丈の前庭、鶴亀の庭。
スクリーンショット 2017-03-09 10.22.03「金地院」の鶴亀の庭の白砂に施されているのは水面を表す砂紋
特別拝観では書院の襖絵、等伯による『猿猴捉月図』もぜひ。池の水面に映った月をすくいとろうとしているテナガザルの、ふわふわの毛並みが妙にリアル。伏見桃山城の遺構を移した方丈、枯山水に池泉庭園、東照宮と、見どころが一目瞭然。

金地院南禅寺塔頭

住所/京都市左京区南禅寺福地町86-12 地図
TEL/075-771-3511
拝観時間/8時30分~17時(12月~2月は16時30分まで)
定休日/無休
拝観料/¥400(茶室の特別拝観は別途¥700。申し込みは往復はがきで)

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